【映画感想】天気の子(2019年7月公開)
〜現代版御伽噺〜
※この映画を見る前、若しくは後に、原作小説の、あとがきだけでも読んだほうがいいと思います。
[公開日]2019年7月19日
[監督]新海 誠
[評価]80点
[あらすじ]
連日雨が降り続ける夏。ある離島から東京に家出をした高校1年生の少年・帆高はそこで不思議な能力を持つ少女・陽菜に出会う。
その能力とは、祈るだけで必ず空を晴れにさせることが出来る、100%の晴れ女だった。
帆高は東京で出会った怪しい中年・須賀が経営する会社で働きながら、陽菜と共に、能力を活かして、人々に晴れを提供する仕事を始める。
しかし陽菜の能力にはある代償があり、帆高はやがて重大な選択を迫られることとなる
[以下感想]
2016年に公開し、記録的大ヒットとなった同監督の作品「君の名は。」から3年。
満を持して公開された今回の作品「天気の子」に対する期待値は、世間的にも、僕の中でも相当高くなってしまっていたと思う。
だからこそ、見終わって最初に思ったのが、(新海さん、やっちまったな…)だった。
「天気の子」の主人公は16歳の家出少年・帆高くんなんだけど、もう、コイツが本当にガキなんだよね。社会のことを何も知らない、考えが甘っちょろい、どうしようもないクソガキ。
僕は終始コイツのことが好きになれずに、その行動のほぼ全てに心の中でツッコミを入れながら見ていた。
何より(うわぁ…)も思ったのが、終盤の迷惑行為のオンパレードね。
警官を突き飛ばすわ脱走するわ車が走る道路を横切るわ線路走るわ…。ツイッターに上げようものなら即炎上するような行為ばかり。
もうアホかと。
かなり白けましたね。
おそらくコイツは他のレビューでもボロクソに叩かれるんじゃないかな。
むしろ叩かれろ。
ただ、惹かれるところもいっぱいあった。
映像は相変わらず綺麗で、作中で描かれている風景は信じられないくらいリアルで、だけど幻想的なところもあって、もはや芸術の域に達している。アニメ作品としては世界一綺麗なんじゃないかと思う。
ヒロインの陽菜ちゃんはひたすら可愛かった。
結構な序盤で、マクドナルドでバイトをしていた陽菜ちゃんが、帆高くんにお店に内緒でビックバーガーをあげるシーンがあるんだけど、その時の悪戯っぽい笑い方とか最&高。
なにより、一番尊いのが、本当は15歳なのに18歳って嘘をついて、お姉さんっぽく振舞っていたところ。この設定を考えた新海さんはマジで良い趣味してる。たぶんだけど、少なくない人数の性癖が歪められるんじゃないかってくらい、年下お姉さんの破壊力はやばかった。
声優さんも良かったよね。特に小栗旬さんとか平泉成さんは味があって流石だなって思った。
総合的に考えればなかなか楽しめたかなと思う。だけど、期待値を超える程の出来ではないかなとも思った。
それで、少しモヤモヤしたままスクリーンを出て、売店を見ると、「天気の子」の原作小説があった。迷わずに即購入しました。
というのも原作小説を読めばモヤモヤが晴れるんじゃないかと思ったから。帰ってすぐ読みました。
ここから小説を読んだ後の感想。
新海さんは凄いよ。よく考えてるよ。
帆高くんが少し好きになりました。
小説は、やっぱり心理描写が丁寧に描かれてるのがでかいね。
何よりも"あとがき"。
新海さんは、「批判覚悟で、道徳無視して作った。」(超要約)って。
なんだか、凄い腑に落ちました。
これからも新海さんの作品に、この人の頭の中にある世界に、変わらず期待したいと思えました。
もし映画を見終わって、モヤモヤしてる方がいたら、原作小説を買ってください。最悪、あとがきだけでも立ち読みしてください。
それで腑に落ちる方もそうでない方もいると思いますが、たぶん心のモヤモヤは幾らか解消されると思います。